京都・洛北 大原逍遙2024 ~来迎院 9.24~
大原女の小径は三千院までを指しますが、実はまだ奥へと続く道があります。その先にあるのが来迎院、天台声明の根本道場です。
来迎院へは三千院への分かれ道から300m程坂道を登る亊になります。すぐに着くと思っていたのですが、意外ときつく感じましたね。ずっと以前、その先の音無の滝まで行った事がありますが、こんな道だった事をすっかり忘れていました。
来迎院は平安時代前期に、慈覚大師円仁が天大声明の道場として開いたのが始まりとされます。その後は一時衰退していたようですが、天仁2年(1109年)に聖応太師良忍が入り復興しました。以後勝林院を本堂とする下院と来迎院を本堂とする上院が成立し、両院を合わせて魚山大原寺と称する様になりました、
写真は良忍上人の御廟三重石塔です。良忍上人が比叡山を下りてこの寺を再興したのは、当時の延暦寺は白河天皇が嘆いた様に、大勢の僧兵を抱え、宗教的権威と武力を背景に強訴を繰り返す政治的存在になっており、本来の仏堂実戦の場で無くなっていたからだと言われます。
大原で声明を完成させた良忍上人は、その後阿弥陀如来仏の示現を受け、融通念仏宗を開いています。融通念佛宗と言っても関西、それも大阪や奈良以外の人にはなじみが薄いでしょうね。私も京都に居た頃は名前を知っている程度でした。ところが大阪に移住して来ると、結構盛んなのですね。お寺に本尊を拝みに行くのでは無く、本尊が寺を出て檀家の家々を巡るのが特徴で、その時銅鑼を鳴らしながら歩くのですが、初めてその音を聞いたときは何が行われているのかと驚いたものです。調べてみると京都市内には一寺も無く、京都府全体でも5箇寺だけの様です。関東にはほぼ無いのかな。ところが大阪と奈良には350軒以上の寺があるのですね。信者は12万人だとか。これだけ一地域に偏った宗派も珍しいんじゃないかしらん。本山は大阪市平野区にある大念仏寺で、結構大きなお寺の様ですね。平野駅からすぐ近くの様だし、どんなところか一度訪れてみようかな。
話が逸れました。来迎院の見所は何と言っても本尊にあり、薬師如来像、釈迦如来像、阿弥陀如来像が並んでいます。いずれも平安時代の作で、とても美しい仏様たちですよ。
境内には楓樹が多く、秋の紅葉は綺麗なのでしょうね。また本堂前にはツツジが植わっており、大原観光帆勝会のページでは綺麗な花が見られるのですが、この日見た限りでは半ば枯れた様な株が多く、あまり花は期待できないかも知れません。
三千院や宝泉院は常に賑わっていますが、来迎院まで来る人は少なくとても静かで落ち着いています。拝観料も400円と良心的で、大原を訪れたなら、一度は立ち寄ってみる価値はあると思います。紅葉時分はどうか判りませんけどね。
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