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2024年9月14日 (土)

京都・洛西 桂離宮 2024.9.14

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令和6年9月14日、桂離宮を訪れてきました。以前から来たいと思っていたのですがなかなか機会に恵まれず、今日やっと念願が叶ったという次第です。

桂離宮は八条宮智仁親王によって建てられた別荘です。当初は桂山荘と呼ばれ、元和元年(1615年)に建設に着手し、数年の内に完成されました。この時は古書院だけが建てられたようですね。智仁親王が亡くなってからしばらくの間は荒廃してしまいましたが、二代智忠親王が前田家より妻を迎えられた事で財政的裏付けを得る事が出来て、中書院を始めとする山荘をほぼ現在の様に整備されました。そして、寛文2年(1662年)に後水尾天皇の行幸に際して新御殿が増築され、書院群が現在の姿となっっています。書院が雁行しているのは三つの建物が時期をずらして建てられたからなのですね。

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拝観時に最初に案内されるのが御幸門から見た表門です。写真では判りにくいですが、一番奥に門があり、外国からの賓客があったときにだけ使われるそうです。もっともおよそ50年前にエリザベス女王がお越しになったなった時以来開いていないそうで、その後はお客様は来ていないとの事です。何でも宮内庁からは積極的に働きかける事は無く、外務省からも要請が無いからとの事で、両省庁はあまり繋がりがないのかしらん。それはともかくとして、この道は手前が広くて奥に行くほど狭くなっているそうです。要するに遠近法で、入って来るときは御幸門が近く見えて早く入りたくなり、帰るときは正門が遠く見える事で名残惜しくなる様になる仕掛けだそうです。

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御幸門から続く道は御幸道と呼ばれ、小石が敷き詰められています。近くを流れる桂川から拾ってきた石を敷き詰められたそうで、平たい面を上にして埋め込んであるのだそうです。地味ですが、とても手が込んでいますね。

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御幸道から苑内に入ると外腰掛けがあります。次の茶室松琴亭のための待合で、左手に雪隠が付いています。雪隠と言っても主な用途は着替えるための部屋だった様ですね。この腰掛けだけではなく、離宮内の縁側には実際に座らせて貰えます。貴重な文化財なのに太っ腹ですね。

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その腰掛けの前には蘇鉄が植わっています。日本庭園には場違いな様でいながらたまに見かけますが、江戸時代以前には珍しい植物だった事で、好んで植えられたそうです。

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州浜の先にある小さな灯籠は灯台を表しているそうです。桂離宮には沢山の灯籠がありますが、総じて小さく、灯りを灯した時に月の邪魔にならない様に配慮されているのだとか。この離宮の主題は月見にあるのですね。

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池の中にある石橋と細長い半島は天橋立を模しているそうです。それにしても良い景色で、日本庭園の最高峰と言われるだけの事はありますね。時間があれば何時間でも眺めていたくなるような庭でした。

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次に案内されるのは茶室の松琴亭です。離宮の中でも最も格式が高い入母屋造りで、大きな建物ですが後ろ側に三畳台目の茶室があり、にじり口から入る様になっています。ここに行くには切石で出来た一本橋を渡る必要があり、手摺りも無く不安定で、高貴な人に対しては不親切な感じがしますが、それも侘び寂びの趣向というものなのでしょう。

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表側の建物には大きな市松模様が施してあり、ちっょと唐突感がありますが、離れてみるとこの模様が丁度良い感じに見えるのが不思議ですね。右下の襖には狩野探幽が描いた水墨画が施されており、中には炉が切られていて、冬には炭が焚かれて暖房が施されていたとの事です。

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苑内で最も高い位置にあるのが賞花堂。とても開放的な建物で、夏を過ごすためにつくられたのだとか。眺めがよいはずなのですが、木が茂っていてあまり見通しは利かなかったです。

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離宮内で唯一瓦葺きなのが園林堂。歴代の位牌が納められた持仏堂です。現在は全ての位牌は相国寺に預けられているとの事でした。これは笑意軒前から見た姿ですが、前の土橋と調和して何とも良い感じですね。

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最期に案内されるのが笑意軒。切石を直線的に畳んだ人工的な汀線に面した茶庭です。この写真では判りませんが、軒下に六つの円い窓が並ぶという面白い意匠が施されており、そのどの窓も形が違っています。この奥に大きな窓があり、離宮の外が見えるようになっています。この地はかつて瓜の栽培が盛んで、瓜見(瓜を食べながら散策する行楽)の名所だったそうです。今は瓜畑は無くなっており水田が見えますが、宅地化されないように国で買い上げて、地元の農家さんに耕してもらっているそうですね。

また、その窓の下には三角形に金箔が貼られており、田舎風の建物の中に唐突感があって、面白い意匠になっています。

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あと月波楼があるのですが、現在補修中で見られなかったのは残念でした。そのため拝観経路が違っており、書院の前を通れなかったのは心残りです。

なお、平面的な庭でもっと歩きやすいと思っていたのですが、意外と凹凸があり、道が飛び石になっていたりして、足の弱ったお年寄りなどには結構きついです。そういう趣向を楽しむ庭なのは重々承知なのですが、出来れば庭を一周せずに平坦な書院周りだけを巡るなど、誰でも歩けるコースを作ってもらえないものかしらん。なかなか難しい相談とは思いますが、足に自信の無い人にも素晴らしい庭の一端に触れて貰いたいです。また、ヒールの付いた靴ではつまずく恐れがあり、平たい運動靴を履いて行かれる事をお勧めします。

桂離宮は日本の誇りとも言える素晴らしい施設です。どこをとっても絵になる庭で、もっと早く来れば良かった。書院の中に入れないのが残念ですが、いつか公開される事があったら是非見てみたいです。

なお、拝観料は千円、他の離宮などは無料なのになぜかここだけ有料ですね。それだけ維持費が掛かるのかしらん。でも千円以上の値打ちがある事は確かです。

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