京都・洛東 宝物虫払会2024 ~真如堂 7.25~
東本願寺から真如堂へと来ました。この日ここを訪れたのは、宝物虫払会が行われるためでした。これは仏画など紙製の寺宝を堂内に吊して空気に晒し、文字通り虫払いをするというもので、一般人にも公開してくれるため、普段見られない宝物の数々を目にする貴重な機会です。毎年7月25日に行われているのですが、これまでは休日と重なる事が少なく、訪れるチャンスがありませんでした。
公開と言っても虫払いが目的ですから、基本的に絵画や書の解説はありません。目録くらい欲しいところですが、そこまで整理できていない感じでしたね。ここで一番見たかったのが真如堂縁起絵巻です。重要文化財に指定されており、中でも応仁の乱で足軽が真如堂を破壊する場面は日本史の教科書の定番なので、見た事がある方も多いと思います。他にも地獄に落ちた安倍晴明が閻魔大王から五行之印を授かり、この世に送り返される場面も印象的ですね。ただ、残念な事に虫干しされるのは写本なんですね。虫払いが必要なのは原本の方なのではと思いますが、なぜ写本なのかは謎です。また同じく重要文化財の狩野山雪が描いた寒山拾得も迫力があって、本物を間近で見られたのは嬉しかったです。
意外だったのが毎年3月に公開される涅槃図の原画があった事で、作者は明兆と箱書きに記されていました。明兆は東福寺の僧で、涅槃図を描いた褒美として境内の桜の木を伐る様に願った事で知られますが、真如堂でも涅槃図を描いていたのですね。とても精緻で素晴らしい絵でしたが、この原画を元に海北友賢らが大きな涅槃図を作成したとのことです。また、豊臣秀吉と徳川家康の肖像画があり、なぜこの二人が真如堂にと思って聞いてみたのですが、来歴は判らないとの事でした。
(向井去来の菩提寺 覚円院)
興味深かったのが和歌を貼り付けた屏風で、「光る君へ」で出てきた彰子の持参品の屏風を彷彿とさせるものがありました。和歌は百人一首の様だったので時代はずっと下るものですが、道長が作ったトレンドは長く引き継がれていたのですね。
私は受け損なったのですが、待っていれば五行之印を使った御加持を授かる事が出来た様です。また、珍しい枇杷茶の接待もあり、飲んでみると甘くて美味しいお茶でした。公開されるのはおよそ200点、仏画が主ですが古い書画に興味のある方にはお勧めの行事です。なお、奉納料は500円、中身の充実ぶりを考えると格安だと思います。
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