京都・洛北 一乗寺から修学院周遊 2024 ~圓光寺 8.15~
今年圓光寺に来るのは桜、さつきに続いて三度目。先客は二人ほど、ここでも夏の暑い日に来る人は居るのですね。この季節、この寺ま楽しみは大きな百日紅にあるのですが、今年はあまり咲いていなかったです。去年は結構咲いていたのですけどね、この木は年によって差が大きい様に思えます。
圓光寺は、徳川家康によって建てられた伏見学校に起原を持ちます。慶長6年(1601年)の事で、下野足利学校第九代学頭・三要元佶禅師を招き、儒学を広めるのが目的でした。その後間もなく元佶禅師を開山として寺に改め圓光寺と称しています。2年後、寺を相国寺境内に移し、その末寺となります。さらに寛文7年(1667年)に現在地に移り、貞享元年(1684年)に南禅寺の末寺となり今日に至ります。ただ、その間は波瀾万丈で、明治維新の廃仏毀釈の波をもろに受けて無住の寺となり、一時は廃寺寸前にまでなりますが、明治39年(1906年)に尼僧が入り、南禅寺唯一の尼僧専修寺院として整備され、命脈を保つ事が出来ました。
サイトをいくつか当たってみたのですが、圓光寺は今でも尼寺と思っている人も多いようです。私も2005年頃に初めて訪れた時は尼寺という意識がありましたが、そのもう少し前、公開が始まった頃には既に尼寺としての役割は終え、男性住職に変わっていた様ですね。山門には研修道場と掲げられていますが、雲水が修行する場ではなく、一般向けの座禅体験が毎週日曜日の早朝に開催されています。
この寺の特徴として、学校としての性格があったため出版事業を行ってきたという歴史があり、孔子家語、貞観政要、三略などの書物を刊行してきました。その名残として木製活字が残されており、全部で5万点もあるそうで、重要文化財に指定されています。一時は廃寺寸前だったのに、よくぞ散逸しなかったものですね。今は瑞雲閣に展示されているので、実物を見ることが出来ますよ。
圓光寺は、初めて来た当時は詩仙堂の陰に隠れた存在で、訪れる人も少ない穴場でした。紅葉時にライトアップする事で一部の人には知られていたかな。そのライトアップも取りやめになり、何故止めるのですかと聞いたところ、木も働くのは9時5時、やはり夜は休めてやらないといけないと言われ、妙に納得した覚えがあります。その後何がきっかけだったのでしょうね、紅葉時には詩仙堂をもしのぐ人が押し寄せるようになり、今では11月半ばから12月初め頃には予約が必要なまでになりました。拝観料も400円から600円になり、さらに秋の特別公開は1000円になっています。かつての素朴で静かだった圓光寺が懐かしいと思うのは私だけかな。
この参道は春の終わり頃に来ると牡丹が咲いています。今は随分と枯れ込んでしまい、それと言われなければ気づかないでしょうけど、花時分はなかなか綺麗ですよ。
この寺にはじめて来てから20年近く、何十回目の訪問になるかしらん。最初に来た時は地元の人が手伝いに来ており、応対もおおらかな地元密着型の純朴な寺という印象でした。その時感じた親しみ易さに惹かれて来ていましたが、今はすっかり観光寺院化して純朴さは無くなり、特に受付の対応が酷すぎます。長年慣れ親しんだ寺ですが、残念ながらここに来る気は失せました。まあ、春の桜は見事なので、年に一回だけは訪れようかな。有名になりすぎると尊大になるのは人も寺も同じですね。
« 京都・洛北 一乗寺から修学院周遊 2024 ~詩仙堂 8.15~ | トップページ | 京都・洛北 一乗寺から修学院周遊 2024 ~鷺森神社 8.15~ »
「洛北」カテゴリの記事
- 京都・洛北 コスモス2024 ~京都府立植物園 10.21~(2024.10.25)
- 京都・洛北 秋バラ2024 ~京都府立植物園 10.21~(2024.10.24)
« 京都・洛北 一乗寺から修学院周遊 2024 ~詩仙堂 8.15~ | トップページ | 京都・洛北 一乗寺から修学院周遊 2024 ~鷺森神社 8.15~ »
コメント