京都・洛北 青紅葉2024 ~蓮華寺 6.19~
三明院から7~8分ほど歩くと蓮華寺に着きます。天台宗の小さな寺ですが、池泉鑑賞式の庭を持ち、境内に楓樹が多い事から紅葉の名所として知られます。
蓮華寺は今は上高野という町外れにありますが、かつては京都駅近くにあった西来院という時宗の寺でした。西来院はご多分に漏れず応仁の乱で焼失してしまったのですが、江戸時代の初期に加賀前田藩の人、今枝近義によって今の地に再建されました。近義が再建を思い立ったのは、祖父の重直の供養のためでしたが、重直は京に聞こえた文人の一人で、当代一流の人物たちと交流がありました。このため、蓮華寺の建立にあたっては、石川丈山、狩野探幽、隠元龍埼など錚々たる人たちが協力したと言われます。小さな寺ですが、江戸時代初期の文化が凝縮されている訳ですね。
なお、蓮華寺は重直の庵があった場所で、さらに遡れば天台宗の同名の廃寺があった事から、今の寺名になったとされています。
蓮華寺の山門を潜るとすぐ左手に夥しい数の石仏が祀られています。これは市電の河原町線が整備されたときに出てきた石仏で、かつて鴨川の河原にうち捨てられた人々を供養するための石仏が、長年土の中に埋まっていたものが出てきたと考えられており、この寺に集められて供養されているとのことです。
実はこの蓮華寺にはあまり良い印象は持っていません。この寺を訪れる様になっておよそ20年、その間に色々なお坊様に会いました。大抵は受付で言葉を交わす程度ですが、説法を聞かせて貰った事もあります。ほとんどの人は穏やかで常識的な人だったのですが、ある日あまりにも居丈高で、高圧的なお坊様と出会ったのです。詳細は省きますが、いきなり人を怒鳴りつけて来て、こちらの話はまるで聞こうとせず、一方的にまくし立てるだけで、ここはブラック企業かと思ったものです。20年通って、こんな人は初めてでしたね。以来、この寺で説法があっても聞く気になれず、庭の写真だけ撮って帰ることにしました。この日の受付にいたお坊様はごく穏やかな方で、説明も丁寧なものでした。同じ寺でもえらい違いですね。長い間寺巡りをしていると色々な人に会いますが、お坊様も十人十色、本当に凄いなと思う人も居れば何だこれはと思う人も居て、お寺の印象もその都度180度変わります。出会いというのは大切なものだと思いますね。
蓮華寺の帰り道、高野川に架かる橋の上から見た比叡山です。子供の頃からずっと見て来た山ですが、見る角度によって表情が全く異なります。そこがまた面白い山なのですけどね。この間近に迫った険しい感じも良いもので、しばらく見とれてしまいました。ここから電車を乗り継いで実相院へと向かう事にします。
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