麒麟がくる 第四回「尾張潜入指令」
天文一七年(1548年)、春。
小豆坂の戦い。
引き分けたものの、傷ついた織田軍。
美濃、明智荘。
鉄砲の練習をする光秀。
しかし、思うようには的に当たりません。
稲葉山城。
元気を取り戻した小見の方。
駒に名残惜しいと帰蝶。
東庵は自分が見ていないと何でも賭け事に使ってしまうと駒。
東庵に礼金を渡し、礼を言う利政。
これから尾張に向かわれるのであろう、信秀に双六の借金十貫ほどがあると聞いたと利政。
仰せの通り借金を返しに行くと東庵。
それだけではないはず、信秀は先の戦で生彩を欠き、城で寝込んでいるとの事、
それを診に行くのではないかと利政。
だとしたらどうと言われると東庵。
その見立てを教えてもらいたいと利政。
医者は患者の秘密を守るものと東庵。
ならばここで切る、十兵衛、東庵の首を刎よと利政。
判りました、織田様のご様子お伝えしましょう、
その代わり借金の十貫を上乗せ下さいと東庵。
光秀を別室に呼び、娘を人質に取り東庵を尾張に行かせよと利政。
鉄砲はどうなった、使いこなせる様になったかと利政。
なんとかと光秀。
戦に使えるものなら使ってみたい、何でもわしに話せと利政。
尾張に向かった東庵。
尾張、古渡城。
蹴鞠に興じる信秀。
殿は肩に流れ矢を受けたと政秀。
公家衆が言うには、蹴鞠が上手ければ侮りを受ける事はない、
和歌が出来ればなおよろしいとの事、
しかし、どこが面白いのか未だに判らぬと信秀。
双六をやらぬかと信秀。
望むところと東庵。
尾張国境。
関所で銭を徴収している織田家の者。
菊丸と共に、百姓に化けた光秀。
兄弟だと偽り、関所をすり抜けた光秀たち。
その背後で捕まる美濃の間者。
古渡城。双六に興じる信秀と東庵。
利政に何か言われたかと信秀。
織田様の様子をよく診て参れ、戻ったらそれを伝えよと東庵。
いくらもらったと信秀。
先ほど返した借金がそれですと東庵。
自分はすこぶる元気だと伝えてくれと信秀。
今川との戦で流れ矢に当たったとかと東庵。
傷口を見せる信秀。
診察をし、いつ矢を受けられましたと東庵。
三月ほどになると信秀。
お主を呼んだのはこの傷のためではない、
夜になると眠れぬ、汗をかき嫌な夢ばかり見る、昼間はけろりとしているのだがと信秀。
まことはこの双六をやるために呼ばれたのではと東庵。
当たらずと言えども遠からずだと信秀。
壮健な様子を見て安堵いたしましたと東庵。
そこに東庵の使いの者が来たという知らせ。
出向こうとする東庵に、双六の決着がついてからにせよと信秀。
勝手口。菊丸と東庵を待つ光秀。
そこに現れた竹千代。自分を刈谷の城まで連れて行って欲しい、
そこには母が居る、熱田に行くのはいやじゃと竹千代。
竹千代を探す織田家中の者の声。
とっさに竹千代を籠に隠す光秀。
家中の者をやりすごした光秀。
抜け出すのは無理、帰れたとしても母上が困るだけと光秀。
もう三年も会っておらぬ、会えばよう来たと言ってくれるはずと竹千代。
父上はどうされましたと光秀。
父は別の城に居て母を追い出し、敵の今川の家来になった、父は大嫌いだと竹千代。
逃げられぬと思うかと竹千代。
うなずき、干し柿を与える光秀。
時が経てば人の心も変わる、いつか母上に会える日も来ると光秀。
干し柿は甘いと言いながら去る竹千代。
自分は三河だから良くわかる、尾張と今川に挟まれて田畑を荒らされ、
強い者に付くしか生き残る方法が無い、
今は我慢して織田に若君を差し出し、織田に付いているのだと菊丸。
そこに現れた東庵。
薬草の入った籠を東庵に差し出す光秀。
中の一つを取り出し、これは西草根と言って役に立たんと言いながらねじ切る東庵。
判ったかなと光秀に念を押す東庵。
東庵から礼金を受け取り、そそくそさと出て行く光秀たち。
信秀の部屋。
配下の者に、東庵に薬草を持ってきた者を捉えよ、あやしい者なら切れと信秀。
尾張、国境。
東庵から受け取った礼金の袋から紙を取り出した光秀。
そこには流れ矢、毒と書かれていました。
そこに現れた織田家家中の者たち。
身元を改めるという織田侍に、抵抗した光秀。
先に逃げ出した菊丸。
敵に囲まれ危うくなった光秀。
そのとき、つぶてを投げて光秀を助けた謎の人物たち。
菊丸に呼び止められ、身を隠した光秀。
光秀たちを見失い、余所へ行ってしまっ織田家の者たち。
あの者たちは何者だ、一人や二人ではないと光秀。
稲葉山城。
帰ってきた菊丸を問い詰める駒。
尾張に行ってきたと菊丸。
きっと先生は双六がしたくて尾張に行ったんだと駒。
利政に、信秀は流れ矢の根が取れておらず、そこから毒が回り、
いつ倒れてもおかしくはないと報告する光秀。
信秀が倒れればこっちのもの、こんどはこちらから攻める番だと利政。
駒はいかがいしたしますと光秀。
今の話で十分だ、東庵も駒も好きにして構わんぞと利政。
明朝再び登城せよ、常在寺の和尚、日運が鉄砲の話をしたいと言う、
いささかそそられると利政。
駒に京に帰れると伝えた光秀。
そんなに私を京に帰したいのか、少し寂しゅうございます、
判ります、そういうのと駒。
要領の得ぬ光秀。
しばらくここに止まると言って、部屋を出て行く駒。
翌日、稲葉山城。
京の本能寺という寺がある、
近頃種子島にある末寺を通じて密かに鉄砲を作らせているという噂があると日運。
本能寺にそうさせているのは将軍家だと日運。
将軍義輝様は、これは弓矢に代わるおそるべき戦道具だと仰せられたと日運。
種子島では鉄砲を作っているのか、あのような難しいものを誰が作っているのかと光秀。
それは判りかねますと日運。
裏山。
鉄砲の試射をする光秀。
今度は見事に命中します。
鎧を貫いた威力に驚く伝伍。
よしとうなずく光秀。
「世話になった東庵を間者にしようとする利政。断るとただちに斬るとおどします。するとすぐにけろりと借金の肩代わりをしてくれるならと豹変する東庵。このあたりは戦国の非情さと、そこに生きる者のたくましさを感じさせます。」
「信秀に平然と二重スパイである事を打ち明ける東庵。それを知りつつ、自分の弱みを打ち明ける信秀。このあたりは駆け引きというものなのでしょうか。それが証拠に東庵の使いの者を切れと命じた信秀。東庵は使えるが、秘密は漏らさないという事かしらん。重六のサイコロの意味するものは何だったのでしようね。」
「信秀は蹴鞠に興じていましたが、当時の戦国大名には珍しく、朝廷に目を向けていた人物でした。朝廷に献金する事により官位を得、さらには内裏の再建費用まで献上しています。守護代のさらに家臣という立場でありながら、実質的に尾張を支配していた信秀は、朝廷の権威を借りる事で自らの優位を確立しようとしていたのでしょうか。」
「織田家の家臣に追い詰めながら、謎の人物たちによって救われた光秀。あのつぶての集団は誰だったのでしょうね。普通に考えれば菊丸の仲間と思われますが、ますます菊丸が謎めいて来ました。」
「竹千代が織田家の人質になっていたのは史実にあるとおりです。こうなったいきさつには諸説があり、今川家に人質として差し出される途中に味方の裏切りに会い、織田家に奪われたのだとも、信秀が岡崎城を攻め落とした時に父の広忠が人質に差し出したのだとも言われます。熱田に行くのは嫌だと言っていたのは、織田家の人質時代には、熱田の加藤順盛の下に置かれていた事を指すと思われます。」
「本能寺と種子島の繋がりも史実にあるとおりです。種子島には本能寺の信者が数多くあり、本能寺に通じれば鉄砲や火薬の入手が容易だったと言われます。義輝と本能寺の関係は良く判りませんが、義輝が鉄砲に興味を抱いていたのは事実の様で、大友氏から鉄砲と火薬の秘伝書を手に入れたりしています。」
「表の顔と裏の顔を巧みに使い分ける老練な利政や信秀に比べて、光秀は裏も表も無くまっすぐです。戦国の世を生き抜くには単純過ぎる様ですが、この先待ち受ける波乱の人生によってやがて織田家重臣の座に座るだけの老獪さを身につけていくのでしょうね。どんな光秀像が描かれていくのか、この先が楽しみです。」
参考文献
「明智光秀・秀満」「明智光秀と本能寺の変」小和田哲男、「図説明智光秀」森祐之、「ここまでわかった 明智光秀の謎」歴史読本、「明智光秀」早島大祐、「本能寺の変」藤田達生、「信長研究の最前線1、2」日本史資料研究会
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