京都・洛北 賀茂競馬 ~上賀茂神社 儀式編~
令和元年5月5日、上賀茂神社恒例の賀茂競馬(かもくらべうま)が行われました。我が家にとっても10年以上通い続けているというなじみのある行事です。右方と左方の二組が馬に乗って競争するというただそれだけの行事ですが、これがとても面白いのですよ。
賀茂競馬は900年以上の伝統を持ち、その間に様々な儀式が加えられ今に至っています。どんな意味を持つのか関係者ですら判らないという儀式だらけで、とにかく伝統という事で伝えられてきました。これはその一つ、自己修祓です。耳かきの様な小さな棒で自らを清め、棒をならの小川に流すという神事です。ここで良く判らないのは、以前見たときは足で川の水に触れていたのに、この日は何もしなかったという事ですね。どういう事なのかは謎です。
自己修祓を終えた乗尻(騎手)たちは一度境外社の藤木社に集まり、そこからまた馬に乗って上賀茂神社にまで帰ってくるという神事を行います。藤木社で何かするという事はなく、ただ行って帰ってくるだけですね。何の意味があるのかと思っていたのですが、これはかつて乗尻は邸宅前まで引き連れられた馬に乗って出社したという故事を再現しているのだそうです。何にしても社家町を馬で通る姿というのは絵になります。
上賀茂神社に戻った乗尻たちは庁屋(ちょうのや)に集まり、修祓を受けた後、勧盃、勝栗、手水の儀を行います。これは身を清め、必勝を誓うと言う意味があるのかなと何となく判りますが、右方の一人だけが横を向いているのが謎です。また、この後、乗尻が一人ずつ右手の幕の奥に入っては出てくるという不思議な所作をします。これも何の意味があるのか不明です。
さらに謎の儀式は続きます。乗尻たちは境内の南で馬に乗り、一人ずつならの小川に掛かる橋を渡り、切壁と呼ばれる場所で馬上拝という所作を行います。
この時、左方はそのまま一の鳥居に向かうのですが、右方はくるりと輪乗りをしてから一の鳥居に向かいます。これを日形乗りと言いますが、陰陽道的な意味があるそうです。でも、本当の意味は誰にも判らないそうですね。
一の鳥居前では右方と左方が向かい合って並び、たすき掛けという所作を行います。これを月形乗りと言いますが、例によって意味は不明です。このあと、乗尻は下馬して境内へ参進していくのですが、これにも呪術的な意味があるそうですね。
乗尻たちはそのまま本殿に向かい、そこで修祓、奉幣、祝詞などの儀式を受けますが、これは一般人は見る事が出来ません。その代わりという事なのでしょうか、馬場を馬が南下し、その装束を見物人に披露して歩きます。
この鉾は神様が宿る場所です。神様は各社からこの鉾に乗り移って競馬をご覧になるのですね。ここでも一つの疑問があり、本殿で儀式を行っているのに神様はこちらに居るというのはどういう事なのかしらん。
それはともかく、暫くすると警護衆が馬場の様子を確かめにやって来ます。たぶん昔はそれなりの身分の人がしていたのでしょうけど、今は小学生がこれを務めます。小さな子供たちが装束に身を固め歩く姿は何とも愛らしいですよ。
明日は儀式を終えた乗尻たちが走る競馳の様子をお届けします。
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