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2019年5月12日 (日)

京都・洛北 賀茂競馬 ~上賀茂神社 競馳~

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一連の儀式が終わると、いよいよ競馳が始まります。もっとも、すぐに走り出すのでは無く、ここでも儀式は続きます。

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まずは、乗り尻建が入場して来る時に行われる九折南下。まっすぐに馬場を下るのではなくジクザクに馬場を進みます。これは馬に馬場の雰囲気を慣れさせるために行うのだとか。

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九折南下が終わるといよいよ勝負の始まりです。でもその前に馬の性質を見るために三遅、巴、小振の儀が行われます。馬同士が近づいた時、あるいは柵の埒に近づいた時に馬がどんな反応を示すか見極めるために行われるのだそうです。

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この高台に乗っているのは審判員の後見です。賀茂競馬は早く走れば良いという訳ではなく、作法も大事で、作法にかなわなければやり直しとなります。なお、左方が勝った場合は赤、右方が勝った場合は青の扇が掲げられます。もっとも、私が見ていた限りではどこで扇を上げているのかは判らなかったです。

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競馳の一番目は必ず左方が勝つことに決まっています。これは江戸時代に京都所司代から贈られた馬が左方の一番目に走る事が決められており、幕府に忖度した神社が先に左方を走らせて勝たせる事にしたのだそうです。この時の乗尻の所作が独特で、後方の右方の馬に対して鞭を指し、追いかけてこいと挑発しているのですね。

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その左方は走りきった後に途中の通路まで戻り、首を半分馬場に突き出します。これも右方の馬を挑発する行為で、さあ走ってこいと言っているのですね。

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挑発された右方の馬は、猛然と走り出します。本来なら鞭を前に差し出して敵意をむき出しにするのですが、この日はなぜか鞭を上げなかったですね。もしかしたら、私の前を過ぎたあたりから鞭を上げていたのかも知れません。

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二番の競馳からはガチの勝負となります。二人の乗尻の冠が合った時がスタートのタイミングで、側で見ている念人が「合うたー!」と叫んだら競争の始まりです。最初に開いていた馬身が縮まったら追いかけている方が勝ち、縮まらなかったら先行している方が勝ちとなります。ただ、それだけで勝負が決まるのではなく、正しい作法に則らなければいくら早くても負けが宣告されます。

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勝った乗尻は、神のおわす頓宮にあいさつに来ます。この時、身につけている刀や鞭などは外され、代わって勝者の印として賜った禄(白い布)を肩に乗せて頓宮まで歩くことになります。

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これが頓宮に拝礼しているところですね。ここまでは見ていても意味のわかるところです。

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謎なのは、帰り道で必ず一度しゃがむ事で、これは何を意味しているのでしょうね。誰も説明してくれないので、意味は不明です。

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この日は五番勝負でした。10年間見てきた中ではずっと六番勝負だったのですが、なぜか今年は一番減らされていました。長い歴史の中ではもっと番数の多い時期もあり、毎年出走数は変わるのだという説明でしたが、もしかしたら乗尻のなり手が減っているのかなという気がします。この日走ったのは中学生と大学生、それに社会人のベテランだったのですが、若手が少なすぎますね。もしかしたら、乗尻の世界にも少子高齢化の波が押し寄せているのかも知れません。乗尻には毎週末の練習と精進潔斎が求められるそうで、受験だの就職だので制約を受ける世代には難しいのかな。なんとかこの伝統は守っていって欲しいものだと思います。

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コメント

やはり迫力がありますね!

GW中は京都へでかけられなかったので
こちらで楽しませて頂いてます(*^_^*)

Milkさん、

何度となく見てきた加茂競馬ですが、飽きる事はありませんね。
長い儀式も丁度良い間と感じる様になりました。
乗尻の世界も少子高齢化で大変そうですが、
途切れる事なく続いて欲しい行事です。

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